「地方創生に取り組みたいけれど、どこから手を付ければいいのか分からない…」「コンサルを導入してはみたものの、想定ほどの成果が上がらない…」と悩んでいませんか?
近年、人口減少や過疎化などの問題が深刻化する中で、「地方創生」は多くの自治体や地域企業にとって避けて通れないテーマになりました。
そこで“救世主”のように期待されているのが、地方創生の専門知識を持つコンサルタント――ですが、本当にそのコンサル導入は成功へと繋がっているでしょうか。
私はこれまで、「形だけのプロジェクトが立ち上がっては消えていく様子」を何度も目にしてきました。せっかく外部コンサルを呼んでも、結局は「報告書を作って終わり」になったり、住民や地元企業の協力を得られずに頓挫したり…。せっかく費用と時間を投じたのに、誰も幸せにならない――そんな不幸なケースは決して少なくありません。
それでもなお、「本当の地方創生」を実現するために、コンサルの力をうまく活かせる自治体や組織は確かに存在します。ならば、その「うまくいくケース」と「うまくいかないケース」の差はどこにあるのでしょうか?
本記事では、地方創生コンサルにありがちな問題点を中心に掘り下げながら、成功事例の共通点や導入時に押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。
もしあなたが、「これ以上、無駄なプロジェクトを増やしたくない」「地域を本気で変えたい」と強く願っているなら、この記事が次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
では、まずは“地方創生コンサル”が今どんな状況にあるのか、その背景を紐解いていきましょう。
地方創生コンサルの市場背景と現状
近年、日本各地で「地方創生」が叫ばれるようになった背景には、過疎化・高齢化が進む地域の危機感があります。廃校が増え、商店街がシャッター通りになり、地元に残る若者はほんの一握り——こうした深刻な状況に対し、国や自治体は予算を投じてさまざまな施策を展開してきました。
しかし、残念ながら多くの地域では、その成果が思うように現れないのが実情です。「移住・定住促進」「観光振興」「特産品開発」などの取り組み自体は増えているものの、人口減少に歯止めがかかっていなかったり、財政の改善が進まなかったり…。そこでクローズアップされているのが、“地方創生コンサル”の存在です。
急増するコンサル案件の背景
- 外部知見を求める自治体・企業
行政や地元企業の担当者は「新しいアイデアやノウハウが足りない」と感じ、実績をもつコンサルタントに支援を仰ぐケースが増えています。外部の視点を取り入れ、これまで見落としていた地域資源やポテンシャルを再発見したい——そんな期待が背景にあります。 - 活用できる補助金や交付金の存在
地方創生事業に使える国や自治体の補助金・交付金があり、それをコンサル費用に充てることが可能なケースも少なくありません。このため、予算的ハードルが下がり、「とりあえずコンサルを入れてみよう」という動きが起こりやすいのです。
一方で深刻化する「テンプレ化」とマンネリ
一見、コンサル導入が活性化しているように見えますが、成果に繋がらない事例も数多く報告されています。原因の一つには、「どの地域にも同じような施策を提案してしまう“テンプレ的アプローチ”」が挙げられます。
例:
他県で成功した移住促進策をそのまま導入→その地域ではそもそも雇用先が少なく移住希望者が定着できない観光客を増やすためのSNSキャンペーン→地元住民や宿泊施設との連携が弱く、実際に旅行者が訪れても満足度が低くリピートに繋がらない
こうしたマンネリ化した施策は、地元の方々が首をかしげるほど現実とかけ離れた計画になりがちです。「せっかくコンサルを頼んだのに、結局うちは何をしたらいいの?」と担当者も戸惑ってしまうケースが多々見受けられます。
“見えない温度差”が成果を阻む
また、地方創生の現場では、行政・民間企業・住民の三者がバラバラの温度感を抱いていることが少なくありません。コンサルが行政サイドの意向だけを受け、住民や中小企業の生の声を聞く前に施策をまとめてしまうと、最終的に「このプロジェクト、何のためにやってるの?」という不信感が生じるのです。
- 行政:
– 「予算内で形のある成果を出さなきゃ…」 - 民間企業:
– 「ビジネスとしての収益性や継続性が本当にあるのか…?」 - 地元住民:
– 「また外から専門家が来たけど、私たちの暮らしとは関係ないんじゃない?」
こんな温度差を埋めきれないまま走り出してしまうと、コンサルの提案も絵に描いた餅で終わる可能性が高いでしょう。
こうした市場背景や現状を見渡すと、“地方創生コンサル”は確かに需要が高まり、大きな可能性を秘めている一方で、対応しきれない課題やミスマッチが存在することが分かります。
次のセクションでは、コンサル導入における具体的な“問題点”に踏み込みながら、どうすればこの状況を打破できるのかを考えていきましょう。
地方創生コンサルにありがちな問題点
地方創生コンサルが増えたことで、地域活性化のチャンスが生まれているのは事実です。ですが、その一方で「結局何も変わらない」「予算だけ浪費した」という声も少なくありません。
なぜ、せっかく外部の専門家に委託しているにもかかわらず、成果が伴わないケースが出てくるのでしょうか。ここでは、代表的な問題点を4つ取り上げます。
1. 形だけのフレームワーク導入
“机上の空論”で終わってしまう現場の実態
コンサルタントと言えば、SWOT分析やKPI設計などのフレームワークを持ち込み、プロジェクトの方向性を整理してくれます。しかし、それが地域の現場に根付いていないと、会議で立案したプランは“理想論”のままで止まってしまいがちです。
- 住民からの悲痛な声
「よく分からない英語のスライドを見せられても、私たちにはピンと来ない…」
そんな言葉を聞くと、コンサル側も「頑張って提案しているのに」と歯がゆい思いをするかもしれません。しかし、本来フレームワークは“形”ではなく“使いこなしてこそ意味がある道具”のはず。 - ヒアリング不足で独りよがり
行政担当者や一部の役員とだけ話し合い、“住民の声を直接聞く”プロセスを飛ばすコンサルも珍しくありません。結果、地域の本質的課題とズレた分析になり、結局「誰もやる気が出ない」企画が生まれるのです。
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2. 表面的な“成功事例”の横展開
よそで上手くいった施策は、あなたの地域でも必ず成功する?
地方創生のセミナーや情報誌で「○○県の移住プロジェクトが大成功!」と取り上げられると、そのフォーマットを真似したくなる気持ちはよく分かります。
しかし、地理的条件や産業構造、さらには文化や住民性まで異なる他所の事例を、そのままそっくり持ってきても、成果を生むとは限りません。
- 成果が出ない理由
- 地域資源の目玉(海産物や温泉など)がまったく違う
- 実は同じような競合施策を近隣自治体が既にやっている
- 地元での受け入れ体制が未整備 …など
- 「うちは観光客が来たら喜ぶ」と思ったら大間違い
住民の方や事業者が観光客増加による負荷に耐えられる準備をしていないと、現場が疲弊してしまうことも。コンサルが成功例ばかりを押し出し、本質的な地域の課題を見ずに計画を進めると、痛い目を見るかもしれません。
3. 行政・民間・住民の温度差
「一枚岩じゃない地域」をどうまとめるか?
地方創生というキーワードは、行政・民間企業・地元住民など多くのステークホルダーを巻き込みます。しかし、それぞれの立場が抱える“本音”は必ずしも一致していないのが現実です。
- 行政の本音
「交付金や予算を活用しつつ、なるべく早く成果らしきものを形にしたい」 - 企業の本音
「地元を応援したい気持ちはあるが、まずは経営面でメリットがないと続かない…」 - 住民の本音
「新しい試みをするのはいいけど、自分たちの生活が良くなるのか、いまいち分からない」
こうした温度差を丁寧にすり合わせず、行政やコンサル主導で施策を強行すると、住民側は**“やらされ感”**を拭えずに参加意欲を失うことが多いです。どんなに素晴らしい企画でも、地元住民の協力なしには長続きしません。
なのに、その温度差が十分に議論されないまま「とりあえずイベントをやりましょう!」となってしまう——これは地方創生コンサルの典型的な失敗パターンです。
4. 費用対効果の不透明さ
「コンサル費って高くない…?」と言われる理由
数百万円から数千万円単位のコンサル費を支払いながら、明確な成果指標(KPI)が設定されていないケースも意外と多いものです。たとえば移住定住促進なら「移住者が何人増えたか」を追いたいところですが、それ以前に「どんな条件の移住者をターゲットにしているか」さえ曖昧な場合も…。
- 成果が分からず、不満が募る
- 担当者:「コンサルを入れて一年経ったけれど、数字が変わっていない…」
- コンサル:「施策はこれからです。もっと長期的に見てください」
- 住民:「そんなにお金を使ってるなら、私たちの生活も変わらないとおかしいよね?」
このように、“言った言わない”のすれ違いや、成果物が「報告書」しか見えない状態になりやすいのが問題です。もちろん地方創生は数年単位で進めるべき事業ですが、だからこそ明確なKPIを設定し、中間チェックを怠らない仕組みが必要でしょう。
結果が出せない・住民の不満が募る…これらの要因が積み重なると、コンサル導入そのものが「無駄金を使った」と揶揄され、次年度以降の予算が減らされる悪循環に陥る可能性もあります。
では、どうすればこうした問題を回避し、コンサルとの連携で“本当の地方創生”を実現できるのか? 次のセクションでは、具体的な対策や成功のポイントを紹介していきます。
地方創生コンサルを成功させるためのポイント
地方創生コンサルが“机上の空論”や“他所のまね事”で終わってしまうのは、本来のプロセスが抜け落ちているからです。ここでは、具体的にどのような工夫をすれば、コンサル導入が地域全体にとってプラスに働くのかを探っていきましょう。
1. 現場主導の課題整理を徹底する
目的を共有し、住民のリアルな声を拾う
コンサルが入る前段階で、自治体や地元企業、住民代表が一堂に会し、「地域の課題は何か」「成功とはどんな状態か」をとことん話し合うことが大切です。ここを疎かにしたままコンサルを呼ぶと、どんなに優秀なコンサルタントでも、“誰のための施策か”が曖昧なままになってしまいます。
- ポイント
- まずは行政だけでなく、商工会・農協・若者団体など、多様なステークホルダーの意見をヒアリング。
- 住民や企業が感じている“本音”をリストアップし、コンサルがそれを踏まえて分析できるようにする。
- メリット
- コンサル側も地域の現状や悩みを正確に把握でき、ズレた提案を防げる。
- 「自分たちもこのプロジェクトの一部だ」という意識が生まれ、やらされ感が減る。
2. 地域の“強み”と“弱み”をデータで可視化する
客観的な数字と現場の声を組み合わせる
感覚的に「うちの地域は自然豊かだから観光に向いている」というだけで進めてしまうと、あとで「自然を楽しむ客層はどれくらい?」「宿泊施設は充分?」といった課題が山積みになることも。
そこで、統計データやSNSの発信状況、地元企業の売上推移などを活用し、強みや弱みを定量的に洗い出す作業が欠かせません。
- ポイント
- 地域資源(産業構造、名所、伝統文化など)を一覧化し、競合他地域と比較してみる。
- 観光客や移住希望者の心理を、アンケートやSNS分析で定量的につかむ。
- メリット
- コンサルが提示するフレームワークも、数字に基づいて検証しやすくなる。
- 「ここは他所にはない強みだけど、ここはもっと補強が必要だね」と、具体的な議論ができる。
3. 地元リーダー人材の育成&巻き込み
コンサルは“火付け役”、継続して動かすのは“地域の人”
地方創生は、短期間のプロジェクトで劇的に変わるものではありません。コンサルが数カ月~数年の契約で入ってきても、契約が終わったら“あとは知らない”では、本当の意味で地域は変わりません。
- ポイント
- コンサルは施策提案だけでなく、「地元人材を育てるための研修」「ワークショップ」などを同時に進める。
- 若手や移住者、女性団体など多彩な世代・属性のリーダーを作り、彼らが将来的にプロジェクトを引っ張れるようサポート。
- メリット
- コンサルが去ったあとも、自分たちでPDCAを回せる地域が育つ。
- 住民自身が試行錯誤を楽しみながらプロジェクトを続けるので、根強いファンや後続の人材が自然と増えていく。
4. 施策とKPIを明確に紐づける
成果指標を定め、モニタリングを継続
「移住促進」「観光客増加」と漠然と掲げるだけでは、結局どれほど成功したか誰も判断できません。そこで、コンサル提案とKPIをひとつひとつ紐づけて、「達成すべき目標」を明示することが重要です。
- 例:移住促進なら
- 30代の移住希望者を年に○名増やす
- そのためにSNSやオンライン相談会を月○回実施し、問い合わせから移住決定までのフローを可視化
- メリット
- 行政担当者や企業が“どの指標で進捗を追えばいいか”を把握でき、費用対効果も検証しやすい。
- 施策が効果的かどうか分かれば、改善策を検討する際の材料になる。
5. 継続的PDCA体制の構築
“イベントをやって終わり”にしない仕組みづくり
あらゆるプロジェクトと同様、地方創生も**Plan-Do-Check-Act(PDCA)**を回すことが欠かせません。ひとつのイベントやキャンペーンで終了するのではなく、結果を振り返って次に活かすという流れを地域内で持続させるのです。
- ポイント
- コンサル契約期間中に、「定期モニタリング会議」のスケジュールを設定。
- 契約終了後も、自治体や地元企業が主体的に会議を継続できるようなシステム(タスク管理ツールやSNSグループなど)を用意しておく。
- メリット
- 施策を走らせっぱなしにせず、こまめにデータをチェックして柔軟に方向修正できる。
- 住民や企業の意見が反映される場が定期的にあるため、モチベーションを保ちやすい。
これらのポイントを押さえてコンサルと連携すれば、単なる“やって終わり”のプロジェクトではなく、地域の人たちが“自分事”として動かせる仕組みへと発展させられます。
次のセクションでは、コンサル導入により想定される失敗事例と成功事例を比較しながら、どんな違いがあったのかを具体的に見ていきましょう。
事例:問題点から学ぶ地方創生コンサルの成功パターン
ここでは、コンサル導入により想定される失敗事例と成功事例を取り上げます。両者の比較から見えてくるのは、コンサルを“導入した”かどうかではなく、どう活かすかが最大の分かれ道だということです。
A. 失敗事例:形式的な移住促進プロジェクト
背景:
ある市では、過疎化が進み、若年層の移住が最重要課題とされていました。そこで、地方創生コンサルに依頼し、SNSやパンフレットを駆使した移住促進キャンペーンをスタート。
しかし、その市には若年層が求める就職先や住居サポートがほとんど整備されておらず、実際に移住希望者が来ても「働く場所がない」「家探しが大変」と不満が噴出。最終的には、数か月間のPR期間が終了すると同時に何の成果も得られず、プロジェクトは自然消滅してしまいました。
- 問題点
- 地元企業との連携不足:移住者が働ける環境や、企業による受け入れ態勢が不透明。
- 住居・インフラ整備の検討不足:仮に移住希望者が興味を持っても、実際に住める物件や生活支援制度が整っていない。
- KPI設定の曖昧さ:移住者数のターゲットを決めず、SNSのフォロワー数やパンフ配布数など“見かけの指標”だけ追っていた。
担当者の声
「コンサルさんにキャンペーンを運営してもらったけど、終わってみたら移住希望の問い合わせはごくわずか…。もっと根本的な課題に向き合うべきだったと痛感しています。」
このように、表面的なプロモーションだけに注力し、**“移住する人が本当に求める受け入れ体制”**を築けなかったことが最大の敗因です。
B. 成功事例:地域特化型コンサル×地元企業連携
背景:
一方、ある町では、地元農産物のブランド力を高めたいと考えていました。そこで、地域の食文化や歴史に精通した地元特化型のコンサルと契約し、まずは農協や商工会、若い生産者グループとワークショップを開催。彼らの意見を細かくヒアリングし、地域ごとの特性や課題を洗い出したうえで**「高付加価値の加工品開発」**を目標に設定しました。
- 具体的な施策
- 商品開発プロジェクトチームを結成し、地元の食材や伝統レシピを掛け合わせた新商品を開発。
- 試作品を地元の祭りやイベントで試食販売し、住民から率直なフィードバックを得る。
- コンサル契約中にリーダー研修を実施し、SNSマーケティングや販路拡大のノウハウを地元メンバーが学ぶ。
- 成果
- 新商品が全国のECサイトで売れ、売上が前年比○%アップ。
- 若者や主婦層が中心となり、今後も自走できる運営体制が整った。
- 契約終了後も自主的にPDCAを回し、新商品を定期的にリリースしている。
コンサル担当者の声
「私たちの役割は“外部から口を出す”だけではなく、地域の人たちが“自分たちの手で未来を描ける”環境を作ることだと思っています。幸い、この町には若い生産者や経営者の方々が多く、熱量をうまく引き出せました。」
失敗と成功を分けるポイントは…?
- 「誰のためのプロジェクトか」を一貫して意識しているか
成功事例では、地元の農協や若手リーダーが最初からプロセスに深くかかわり、**「自分ごと」**として動いていた。 - 地元に合った施策や数値目標をセットできているか
テンプレ的な移住促進ではなく、その地域ならではの資源(農産物×伝統レシピ)を活かし、顧客に刺さる商品を練り上げた。 - コンサルがリーダー育成まで視野に入れているか
成功事例は、契約期間中に徹底してメンバーを教育し、リーダーシップを育んだ。結果、コンサル不在でも動き続ける組織が育っている。
このように、**成果が出るプロジェクトには必ず“地元の主体性”**が伴います。コンサルはあくまで外部のサポート役であり、地域が自ら意志をもって行動し続ける体制を作ることこそが、本物の地方創生への道です。
次のセクションでは、ここまでの議論を踏まえながら、「結局コンサルを入れるなら、どんな点をチェックすべきか」「そもそもコンサルが必要かどうか」という視点を含めた最終まとめと、具体的なアクションプランを提示します。
まとめ:形骸化しない“本当の地方創生”のために
ここまで見てきたように、「地方創生コンサル」は魔法の杖ではありません。高額なコンサル料を払ったからといって、地域の問題が一挙に解決するわけでもなければ、住民の声が勝手に集まるわけでもない。それが現実です。
しかしだからといって、「コンサルは役に立たない」という結論を急いでほしくもありません。**本来のコンサルの役割は、“外部の視点”や“成功ノウハウ”を取り入れつつ、地域が自ら気づいていなかった強みや課題を浮き彫りにし、解決策を導くためのサポートをすること。**それ自体には、大きな価値があるはずです。
1. 成功への鍵は“地域の主体性”
失敗例を振り返ると、「コンサルに任せれば何とかなる」「行政に丸投げしておけばいい」といった受け身の姿勢が根底にあったように思えます。逆に言えば、成功した地域ほど、自ら主体的に声を上げ、コンサルの力を活用する姿勢が見えました。
「これは私たちのプロジェクトだ。私たち自身が未来を創るんだ」という当事者意識が芽生えると、すべての行動が前向きに動き出します。
2. コンサルを選ぶ際に確認すべきこと
- A. 他の地域での成功事例を無理に押し付けないか
成功事例はあくまで“参考”。そのまま移植しても成果が出るとは限りません。 - B. 地域住民とのコミュニケーションに力を入れているか
住民や企業とのヒアリングを重要視し、形だけのフレームワーク導入に終わらせないコンサルかどうか。 - C. リーダー育成や契約終了後のフォロー体制
一度きりのイベントや報告書づくりで終わるのではなく、地元人材をサポートし、自走できる体制づくりに寄り添ってくれるか。 - D. 成果を測るための指標(KPI)設定が明確か
移住者数、観光客数、特産品売上など、具体的な目標設定と途中モニタリングを怠らない姿勢があるか。
3. コンサルがいなくても動く仕組みを作ろう
最終的に、地方創生を支えるのは行政でもコンサルでもなく、そこに暮らす人々です。
コンサルの提案を受けた段階で満足せず、誰がリーダーシップを取り、どのようにPDCAを回していくのかを常に考え続けましょう。地域の未来を担う若者や移住者、地元で長く商売を続けるベテランたちがひとつのテーブルを囲み、ときにぶつかり合いながらも前へ進む。この「自分たちが主役」だという意識こそが、形骸化しない地方創生の原動力です。
次のステップ:まずは自分たちの“今”を把握する
- 現状分析:
今の地域にどんな課題があり、どの部分が強みになり得るのか、データやアンケートで再確認。 - ヒアリングの場づくり:
行政担当者だけでなく、企業や住民を交えたオープンな話し合いを実施し、「本当に解決したいこと」を言語化する。 - コンサル選定の準備:
どんなサポートを求めているのかを明確にし、複数のコンサル企業と話をしながら相性を見極める。 - フォロー体制のイメージ:
コンサルが去ったあとでも、地域内で施策を継続できるようなシステム・チーム作りを検討する。
もしあなたの地域が、今まさに「どうにかしなきゃ」と危機感を抱いているなら、外部の専門家を活かすチャンスは十分あります。ただし、その専門家をどう使いこなすかが成功を左右するカギ。
「コンサルを入れたけど、なんか違う」「結局何も変わらなかった」という声を二度と聞かないために――この記事が、少しでもヒントになれば幸いです。
あなたが住む地域や組織にとって、“本当の地方創生”とはどんな姿でしょうか? それをみんなで一緒に考える最初の一歩を、どうか大切に踏み出してみてください。